04 May エゴイスト 切なさを全く感じられないのが致命傷
地方出身者で、東京でファッション雑誌のエディターとして成功し、ハイライフをエンジョイしているのが、鈴木亮平。彼のトレーナーが宮沢氷魚。二人は互いに惹かれ合うのですが、宮沢は、生活のために売り専のゲイボーイをしてるんですね。それを知った鈴木は、月20万円を払い、自分専用にするんです。それでは足りないのか、宮沢は昼は、運送業、夜は皿洗いと一生懸命働くのですが、突然死んでしまいます。死因は何?映画はそれを告げてません。過労死と想像すればいいのかな。宮沢の母親に阿川佐和子(スッピンで好演)。鈴木も宮沢も覚悟を決めてこの役に飛び込んだことがよく分かります。彼らの熱演の割には、特に片割れは死んでしまうという設定なのに、切なさが、全く伝わって来ないんです。ま、これは俳優というよりも監督脚本の責任だと思います。そのくせ、細かい芸というか、鈴木の手の使い方や、病院で鏡に向かって眉を描くところなど神経を使っていますが、そんなことより、ドラマの中心となるテーマをはっきりと打ち出してくれよと思いました。それとお金の計算ですが、宮沢は20万と少なくとも昼10万夜10万と、計40万は稼いでいると想像しますが、阿川と住んでいるのは安アパート。家賃を払っても十分以上でしょう。宮沢の死因もノーアンサー。お金の計算もおかしい、いい映画はサイドの事情もきちんと納得がいくよう設定されています。鈴木が、阿川と一緒に住むとかのアイディアも、ちょっとついていけない。この映画を見て思い出したのが、妻夫木聡の「怒り」。これも妻夫木と綾野剛の全裸のベッドシーンが話題になりましたが、妻夫木の、都会に住むゲイの哀しみ(人間の哀しみのようなもの)がよく伝わってきてとても良かったです。
60点
Sorry, the comment form is closed at this time.